No.3397 パイプラインの問題だけではなかった
今日は真面目にロジスティクスと危機管理についてです。
先日アメリカの石油パイプラインがサイバー攻撃で止まったニュースはご存知だと思いますが、同時に5月11日にテネシー州メンフィスのミシシッピ川を渡るヘルナンド・デ・ソト橋でかなり大きなひび割れかなにかが見つかり、現在通行禁止の状態です。この橋、場所を検索していただくとよく分かるのですが、テキサスから東部を結ぶI-40と言われる「州際道路(昔からこの訳なんですよね)」の重要な結節点で、石油をパイプラインから鉄道やトラックで代替輸送するにしても大動脈でした。
要するにこれってパイプラインと道路の2つのルートが同時にダメージを受けていたわけで、報道されているようなパイプラインだけの問題ではありませんでした。
幸いパイプラインが復活したから良いのですが、一時的に大混乱になったらしく連邦自動車運輸安全局(FMCSA)が即座に石油燃料を運ぶトラックドライバーの拘束時間の緩和(要するに長時間運転して構わない)、一部の州に対して積載重量の制限を緩和(要するに過積載容認)してもよいと通知。この辺の機動力がスゴいなと思います。まさに危機管理の一端を垣間見た感じです。
そもそも橋の補修が必要になったのは永年の通行量によるもの、すなわち橋にかかる負荷がそうしたのですが、迂回するトラックの積載重量を緩和すると言うのは皮肉。日本ではまずあり得ない緩和措置です。
こういう危機管理への対応は非常に大切で、アメリカのインフラが概ね築70年以上経過しているのでこういう問題が頻発するようになっていています。日本のインフラも東京オリンピックに併せて作ったものが多く、築50年を超えてきました。橋やトンネルにこういう問題が起こるのは必定で、結構ローカルに大事な路線が止まるという事は十分あり得る話し。コロナで地方自治体の予算も厳しくなり、点検も疎かになるでしょうから、こういう問題こそ新しく道路を作ったりリニア新幹線以上に重要な問題だと思います。
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